【年頭所感】東北地方、再発見。

<a href="http://www.ac-illust.com/main/profile.php?id=KJDP001L&area=1">年賀状とり painted by じゅんこ3 @イラストAC</a>

2017年(平成29年)酉年の抱負

当サイト「ミステリアス東北」を運営しておりますWebライターの森川舜平です。
本年もよろしくお願い申しあげます。

昨年は、念願だった青森県新郷村にあるキリストの墓に行くことができました。またこのキリストの墓を訪問したことをきっかけに「東北地方にある面白いスポット」を紹介するメディアサイトを作りたいと思い、少しずつサイトを作りはじめ、昨年の秋に公開するにいたりました。

キリストの墓 | ミステリアス東北

まだまだ手探り状態でサイト制作をすすめております。
これまでは比較的に情報収集・現地取材がしやすい神社やお寺などのいわゆるパワースポットを中心に紹介してきました。今年は、さらに廃墟スポットや秘境駅、アニメやドラマの舞台(聖地巡礼)スポットについての情報を充実させていくとともに、コラム・ブログの記事もアップしていきこうと考えています。
東北地方は、まだまだ他の地域に比べて情報発信力が弱いと感じますので、少しでも東北地方の魅力を多くの人に伝えることができるように日々研鑽して参ります。

化女沼レジャーランド by ミステリアス東北

東北地方のアイデンティティーを考える1年に

これまで学校で習ってきた日本史は、いわゆる中央(朝廷、幕府、政府)視点での歴史でした。古くは蝦夷と呼ばれ、明治維新直後は政府の朝敵とされてきた東北地方の歴史というのは、歴史の教科書や学校の授業ではほとんど触れられてこなかったかと思います。当サイトを立ち上げてから、東北地方にある神社仏閣の創建の由来・縁起を調べるうちに、学校では習ってこなかった東北地方の歴史を再発見することができ、楽しい日々を過ごしております。

現在、私の住む三陸沿岸では東日本大震災の復興が着々と進められており、また近年盛んになっている地域資源を活用しての観光による地域振興なども進められています。しかし、バブル的な震災復興事業の特需も一定の目処が立ち地域経済の不安定化が懸念されるなか、少子高齢化と人口流出という大きな流れを止めることは大変難しいと言わざるを得ない状況です。

Changes in population Tohoku Japan

地域の過疎化が深刻さを増していくなかで、東北地方における自治体の集約・再編は、遠くない未来において議論が起こるのは自然の成り行きではなかろうかと思います。
そのような状況を踏まえて今一度、東北地方という枠の中で歴史や文化などを見つめ直し再発見していくことで、新たな魅力を掘り起こしていきたいと考えてます。そして、これからの東北地方のアイデンティティーや未来について探ることができたらいいな。などと考える2017年の年明けを迎えております。

何はともあれ、多くの人に有益で楽しんで頂ける魅力あるサイトを目指していきますので、何卒今後ともよろしくお願い申しあげます。

2017年 元旦
『東北ミステリアス』運営者:森川舜平

【緊急検証】どうしてこうなった?宮城県のポケモンGO・コラボイベント

当サイトでは、東北地方にあるパワースポットや廃墟スポット、アニメやドラマ・ゲームなどの舞台になった聖地巡礼スポットなど、魅力ある東北地方のミステリアス・スポットを紹介する目的で立ち上げたものです。
基本的にネガティブな話題を取り上げることは避けたいのですが、先日、発表された「ポケモンGO」と宮城県のコラボ・イベントについては、評判が良くないようです。


こんなはずでは…宮城県×ポケモンGOのコラボ詳細が明らかになる(iPhoneMania)

まだイベント開催前で、成功か失敗か判断するのは、早いかもしれません。しかし、これほど前評判が悪いものが、結果的に成功へと繋がるのかは、大きな疑問をもつところです。
そこで、今回のポケモンGOを活用した観光振興策を実施するに至った経緯について、ちょっと検証してみようかと思います。

ポケモンGOでの被災地支援、これまでの経緯を整理してみる

新聞報道などの経緯を時系列で整理すると、日本で「ポケモンGO」が配信されたのが、2016年7月22日。

ポケモンとナイアンティックが制作する位置情報を利用した多人数参加型ゲーム『ポケモンGO』の日本での配信が、2016年7月22日よりスタート。
引用:ファミ通App

そして、宮城県をはじめ、岩手県、福島県、熊本県の被災地4県とナイアンティックの社長による共同記者会見が行われたのが2016年8月10日です。

会見が始まると、まずは宮城県知事の村井氏による企画概要の説明が行われた。連携は、プレイヤーが実際に移動して遊ぶ『ポケモンGO』の特徴を生かした誘客の促進や、訪れる人と地元住民、被災地住民同士の交流促進などを目的としているとのこと。また、詳細については、今後協議しつつ決定していくと発表した。
引用:レアポケモンも出ちゃう? 『ポケモンGO』を使った観光復興に関する共同記者会リポート(ファミ通App)

その後、2016年8月31日に宮城県がポケモンGOを震災復興のための観光誘致策として3000万円の予算を計上すると報道がありました。

県内で10月に開くイベント費用として1000万円を計上。ポケモンのゲームで遊ぶ広場を開設し、被災3県と熊本地震被災地の熊本県の特産品を販売するブースも設け、数万人規模の参加者を呼び込む。

被災地限定のポケモンなど、ゲーム運営会社ナイアンティック(東京)へのシステム改修費にも500万円を盛り込んだ。県は北米や欧州でしか出現しないポケモンを、期間限定で被災地に出してもらうよう同社に提案している。
引用:<ポケGO>被災地誘客 宮城県3000万円計上 河北新報(2016年8月31日付)

これまでの経緯については、マスコミなど各メディアでも大きく取り上げられているので、多くの方が見聞されていることです。 そして、多くのポケモンGOプレイヤーが、「日本でも海外のレアポケモンがゲットできそうだ!」「これは素晴らしい対応だ!」との期待の声があがります。

9月の宮城県議会のポケモンGO関連の質疑応答。県の熱意はいかに?

これまでの経緯からは、今回のポケモンGOを活用した復興支援については、宮城県の村井知事が主導しているような雰囲気が見て取れます。
ここまで僅か1ヶ月ほど。行政の対応とは思えないほど、迅速な対応です。これはさぞや連携を密にうまくいっているのかな?と期待する反面、村井知事がゲームが好きとか、サブカル分野に強いとかの印象はなく、今までの仕事ぶりから不安もつきまといます。

その不安が具現化していたのが、ほとんど報道されることのなかった9月の宮城県議会の質疑応答でした。なお県議会の開会は、2016年9月14日からです。 ポケモンGOの活用策について、何名かの議員が質疑をしています。
その中でも一番突っ込んで質問していたと思われる共産党の角野議員の質疑応答に注目してみました。質問内容については、角野議員のブログにも掲載されています。
一般質問 その1~ポケモンGOの活用は、本当に被災地の役に立つのか|日本共産党 角野達也のブログ
角野議員のブログによると、このポケモンGOを被災地支援として活用することになった経緯は、ポケモンの話題に飛びついた知事のアイデア(思いつき)だったようです。

この計画は、ポケモンGOの配信が始まった7月22日の3日後、25日の幹部会で、教育長から懸念の声が出される中、知事が他の部局長に、突然「ある意味チャンスではないか。被災地にもポケモンが出現するようにお願いしてみたらどうだ。」という話をし、スタートしました。
引用:日本共産党|角野達也のブログ

話題性のあるポケモンGOを活用できないか?とのアイデアは、すごく良い目の付けどころだと思います。
しかし時系列に照らし合わせると、幹部会での提案が7月25日、そして共同記者会見が8月10日。 僅か2週間で、担当部局や他の県知事、ナイアンティックをはじめとする関係企業などとの十分なコンセンサスが果たして得られているのか疑問に感じるところです。

そして9月14日から、補正予算の審議を行う宮城県議会が始まります。
ポケモンGOのコラボの費用として計上された3000万円は、復興基金から沿岸部観光誘客促進費として支出されるものです。復興基金は、国からの特別交付金と復興支援として寄せられた寄付金が財源となっており比較的に自由度の高い予算の使い方できるものです。

東日本大震災に関する寄附金は,下記の基金に積み立てて活用させていただいております。
(1)東日本大震災復興基金 … 被災者・被災企業等の助成事業の財源
(2)地域整備推進基金 … 県が主体となって実施する復旧・復興事業の財源
引用:宮城県災害復興寄附金(宮城県公式ウェブサイト)

角野議員の一般質問は、2016年9月30日に行われました。河北新報で予算計上の報道がされて1ヶ月という状況です。 実際の質疑応答については、宮城県議会のホームページから角野議員の名前をクリックする動画をダウンロードして見ることができます。
録画映像(平成28年9月定例会)

角野議員の3000万円の積算根拠について質問された時の、担当部局の答弁についてまとめるとこうです。
復興基金による沿岸部観光誘客促進費(ポケモンGOイベント関連費)3000万円の根拠については、イベントの詳細については何も決まっていないが、業者と打ち合わせした最近の結果として、その状況をお知らせしているとの答弁。なお広報宣伝費1500万円の内訳としては、周遊マップの制作費300万円、スクラッチやクーポンの製作に600万円、TVなどのメディア活用に400万円、首都圏からの誘客に200万円を積み重ねた結果とし、さらに詳細について積み重ねてまいりたいとのこと。またイベントや広報宣伝などの事業については、ナイアンティックと契約は必要ないので、宮城県独自の取り組みとして行うとも答弁してます。

また(レアポケモンを出現させるための)システム改修費については、今後、システム改修が必要となった場合に実費相当分として負担が必要と考えたので500万円を計上した。現在の段階ではまだナイアンティックとの契約日時などについては確定していない。
これについては、角野議員からは、500万円の根拠がないことが分かったとの突っ込みが入っています。

さらに、10月3日に予算特別委員会で境つねはる議員の「レアなポケモンの出現についてナイアンティックとどのように調整していくのか?」との質問について、知事は答弁せずに担当部局から「レアなポケモンを出現させると安全の確保が課題となるので実現に向けて関係機関と協議していく」とのいかにも役所的な答弁がありました。

以上のことから10月に入ってもナイアンティックとの調整は何もできておらず、担当部局も消極的であることが分かります。これで10月や11月にレアポケモンを出現させるのは、到底無理だったということは分かりました。
ポケモンGOの復興支援としての活用に、今後の展開に期待との声もありますが、9月議会の様子を見る限り、村井知事のスタンドプレイでしかなく、今後の明るい展望は期待薄なのではないでしょうか?
村井知事の熱意と手腕に一縷の望みをかけたいところです。